セクハラの裁判例

ホーム > 法律と裁判  > セクハラの裁判例 vol.11

上司から女性社員に対するセクハラ事件

《京都地判 2006年 4月 27日》

概要

被告 会社及び原告の直属の上司
原告 大手消費者金融会社に勤務する女性
本件は、被告上司が原告に対して、セクハラ(強制参加の食事会で、身体的接触や「単身赴任は寂しいものだよ。」「家で待っている愛人が欲しい。」などと言った)、パワハラ(「僕を誹謗中傷しているらしいな。君の悪い噂がぽっぽっぽっと出てるぞ。ここにいられなくなるぞ。」などと原告を追いやる言動を行った。)を行ったとして、同被告及び被告会社に損害賠償(慰謝料300万円、弁護士費用50万円)、被告会社に未払賃金(休業期間の賃金68万1997円)及びその遅延損害金の請求をした事案である(被告は、事実につき否認している)。なお、原告は、セクハラ行為があったとされた日以降、体調を悪化させ、その4日後に医院で「心因反応」との診断を受けている。

判決

セクハラ等によって休業した期間の未払い賃金(68万1997円)と遅延損害金、セクハラ及びパワハラによる損害110万円認定(慰謝料100万円、弁護士費用10万円) 一部認容
被告上司が上記セクハラ行為を行い、原告が不快な思いを募らせていたこと、及び病状の経過からパワハラの事実があったと認められる。

1.セクハラについて
セクハラ裁判では、セクハラの言動の事実を証拠で立証できるかが重要となる場合が多いです。また、セクハラ裁判の場合、セクハラ行為を直接証明してくれる証拠(直接証拠)がない場合が多いので、間接的にそれを証明してくれる証拠(間接証拠)をどれだけ集めることができるかがポイントとなります。本判決は、どのような証拠を収集する必要があるかについて参考になると思います。例えば、セクハラ行為者が同様の行為をしたという証言があれば有力な証拠になりうるだろう、などです。

2.パワハラについて
被告上司は、食事会であえて原告と隣の者の間に割り込み、原告の体と触れ合う状況になったこと、被告上司が隣に座っていた際で、原告が食事会の途中で席を立っていること、当時会社内で被告上司の食事会でのセクハラが話題となっていたことがあり、女性の間で注意が喚起されていたこと、現に別の食事会で原告と別の女性従業員に対して同様の事実があったことから、原告主張に沿う事実があったことが認められる。

外枠の画像

ページの先頭へ

外枠背景画像