ホーム > 法律と裁判 > セクハラの裁判例 vol.3

《札幌地裁 1996年 5月 16日》

被告 社長/会社
原告は中古自動車販売会社勤務の女性で、被告はその代表取締役。被告は、原告の勤務時間中やそれに準じる時間帯に、事務所内及びそれに続く被告の私室において、約1か月半の間、原告に対して性交を迫ったり性的言動を繰り返し、抱き付くなどの実力行使に及んだ。また、原告の腕をつかんで自宅へ呼び入れ、ベットに押し倒そうとした。これらの行為により、原告は退職を余儀なくされた。

被告および会社に各70万円認容
原告は普段から性的嫌がらせを受けている事実を数人にうち明けて相談していた。また、被告の供述にも不自然な点が多い。社長は継続的に性的嫌がらせ行為等を行うことにより、故意に原告の性的自由を侵害し、その結果原告の退職を余儀なくさせた。原告が社長と2人きりになったのは、社長の申し出を断りきれなかったからであり、被告の不法行為は、代表取締役としての立場と密接不可分なものであって、職務を行うにつきなされたものというべきである。
