《福岡地方裁判所 1992年 4月 16日》
出版社の編集長が、会社内外の関係者に対し、対立関係にある部下の女性従業員の異性関係が乱脈であるかのように非難するなどして、当該女性の評価を低下させて退職に至らしめた。
編集長の行為が不法行為に当たると判示するとともに、「使用者は・・・労務遂行に関連して被用者の人格的尊厳を侵し、その労務提供に重大な支障をきたす事由が発生することを防ぎ、又はこれに適切に対処して、職場が被用者にとって働きやすい環境を保つよう、配慮する注意義務もあると解される」と判示し、編集長と原告の確執を認識していながら、原告が退職することで事態収拾することを是認した。会社の専務の行為も、右の注意義務に反するとして、編集長及び会社に対して、損害賠償として165万円(うち15万円は弁護士費用)を認めた。