◆メールマガジン110セクハラ参考判決
本件は、被告上司が原告に対して、セクハラ(強制参加の食事会で、身体的接触や「単身赴任は寂しいものだよ。」「家で待っている愛人が欲しい。」などと言った)、パワハラ(「僕を誹謗中傷しているらしいな。君の悪い噂がぽっぽっぽっと出てるぞ。ここにいられなくなるぞ。」などと原告を追いやる言動を行った。)を行ったとして、同被告及び被告会社に損害賠償(慰謝料300万円、弁護士費用50万円)、被告会社に未払賃金(休業期間の賃金68万1997円)及びその遅延損害金の請求をした事案である(被告は、事実につき否認している)。 なお、原告は、セクハラ行為があったとされた日以降、体調を悪化させ、その4日後に医院で「心因反応」との診断を受けている。
被告:会長 会社
原告は被告会社に勤務する女性。 被告会長は、原告が役員室へ報告に行く度に食事に誘ったり、「一緒に温泉に行こう」などと、きわどい発言をするなどしていた。 また、入院中の原告を見舞いに行き、キスしたりパジャマの下に手を入れて身体に触ったりし、退院してからも原告を強引にドライブに連れて行き、ホテルへ誘うなどした。
原告は会社を退職した。
被告の言動は、被告が会長であり上司である原告が、その要求にあからさまに逆らえないことを利用して行われ、社会的許容範囲を超えている。
また、被告の行為の一部は勤務時間中、被告会社内において行われ、また会社内の地位を利用して行われていてものであるから、事業の執行につき行われたと認められる。
会社は、使用者としての責任がある。
被告:ピアノ教師
原告:ピアノ練習者
原告は10歳の頃から被告にピアノの個人レッスンを受け、また、原告が大学在学中は、その講師としてもピアノの指導を受けてきた。
ところが、被告教師は、原告が中学3年の時にキスをしたことをはじめとして、高校入学後は下着の中に手を入れる、性器をもてあそぶなどのわいせつ行為に及び、大学入学後には、ついに性交渉を持たせた。 その後も原告は、大学を卒業するまで、複数回同様の関係を持たされた。
これにより、原告は甚大な精神的損害を被るとともに、現在外傷後ストレス障害及び解離性障害を発症しており、ピアニストになる道も、事実上閉ざされたと感じている。
請求額 1,100万円(慰謝料 1,000万円、弁護士費用 100万円)
被告の反論(1):原告主張の性的行為は合意の上のことである。
原告が被告に抱いていた尊敬及び畏怖の念から常に被告が原告に指導ないし指示をし、原告はこれに従わざるを得ないとの関係にあったもので、原告が明示的な拒絶の姿勢を示さなかったからといって原告の同意があったということはできない等として、敗訴。
被告の反論(2):仮に不法行為が成立するとしても、本訴提起の時から3年以前の部分については消滅時効が成立している。
原告の不眠、摂食障害、めまいといった症状や行動が、被告の行為を原因として形成されてきたことを原告が明確に受け止めたのは、医師の診察を受け始めた時であるとして、敗訴。
原告は、被告が学校長をつとめる小学校教諭。 被告は原告とともに他校の見学会及び懇親会に出席し、その帰途、原告の手を取り、自分の性器をさわらせる等のわいせつ行為を要求した。原告はこれを拒否。
この結果、校長は原告を教育上のことで無視し、人事上不利益を課すなど言動をした。
慰謝料300万円の内金として200万円を請求
原告の供述は具体的かつ詳細であり、終始一貫しているのに対し、被告の供述は不自然な感が否めない。 しかし、その後の人事上の処遇等については報復行為とまでは認められない。 h10.12.21 東京高裁で和解成立。
会社代表者である被告は、勤務時間中に事務所で原告と二人だけになったとき、原告の尻を触ったり抱きついたりし、また、毎月生理の有無を聞いたりするなどわいせつな事をし、羽交い締めにして背後から抱きかかえたりするなどの行為に及んだ。
その後、原告が被告の性的行為を断固拒否する態度を続けたところ、些細なことで怒鳴り、威圧的になり、さらに抗議すると原告を解雇した。
慰謝料として300万円を請求。
被告の行為は、原告の人格権を違法に侵害するもので不法行為を構成する。 また、解雇理由と原告の勤務態度等を考慮すると、解雇権の乱用で違法なものである。 被告の不法行為は職務執行と密接な関連性が認められ、また、解雇は職務執行として行ったものであり、被告会社は連帯して責任を負うべきものである。
被告の行為はいわゆる環境型セクシュアル・ハラスメントにあたり、不法行為に該当すると認められる。 使用者は被用者に対し、働きやすい職場環境を保つように配慮すべき義務を負っているが、被告連合会はその義務を怠ったものと認められる。 ただし、加害者の行為は個人的なものであり業務関連性はなく、連合会の使用者責任については認められなかった。
京都セクシュアル・ハラスメント(呉服販売会社)事件 (札幌地裁 h8.5.16)
札幌事件(札幌地裁 h8.5.16)
被告:社長 会社
原告は中古自動車販売会社勤務の女性で、被告はその代表取締役。 被告は、原告の勤務時間中やそれに準じる時間帯に、事務所内及びそれに続く被告の私室において、約1か月半の間、原告に対して性交を迫ったり性的言動を繰り返し、抱き付くなどの実力行使に及んだ。 また、原告の腕をつかんで自宅へ呼び入れ、ベットに押し倒そうとした。
これらの行為により、原告は退職を余儀なくされた。
原告は普段から性的嫌がらせを受けている事実を数人にうち明けて相談していた。また、被告の供述にも不自然な店が多い。
社長は継続的に性的嫌がらせ行為等を行うことにより、故意に原告の性的自由を侵害し、その結果原告の退職を余儀なくさせた。 原告が社長と2人きりになったのは、社長の申し出を断りきれなかったからであり、被告の不法行為は、代表取締役としての立場と密接不可分なものであって、職務を行うにつきなされたものというべきである。
沼津事件(静岡地検沼津 h.2.12.20)
被告:上司 原告はホテルのフロントで会計係として働いていた女性で、 被告はその上司の会計課長である。
被告は仕事の後、原告を食事に誘い、 その帰途の車中で「モーテルに行こうよ。裸を見せてよ」と執拗に誘い、 原告に拒否されたにもかかわらず、 一方的に原告の腰などに触れ、キスを強要するなどした。 その結果、原告は体調を崩し、退職を余儀なくされた。 請求額 599万円(慰謝料 500万円、弁護士費用99万円)
福岡セクシャル・ハラスメント事件(福岡地h.4.4.16)