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▼ vol.11 ▼       New !!!

京都地判(H18.4.27)


事案の概要


原告:大手消費者金融会社に勤務する女性
被告:会社及び原告の直属の上司

 本件は、被告上司が原告に対して、セクハラ(強制参加の食事会で、身体的接触や「単身赴任は寂しいものだよ。」「家で待っている愛人が欲しい。」などと言った)、パワハラ(「僕を誹謗中傷しているらしいな。君の悪い噂がぽっぽっぽっと出てるぞ。ここにいられなくなるぞ。」などと原告を追いやる言動を行った。)を行ったとして、同被告及び被告会社に損害賠償(慰謝料300万円、弁護士費用50万円)、被告会社に未払賃金(休業期間の賃金68万1997円)及びその遅延損害金の請求をした事案である(被告は、事実につき否認している)。
 なお、原告は、セクハラ行為があったとされた日以降、体調を悪化させ、その4日後に医院で「心因反応」との診断を受けている。


結 論
 一部認容
 セクハラ及びパワハラによる損害110万円認定(慰謝料100万円、弁護士費用10万円)
 セクハラ等によって休業した期間の未払い賃金(68万1997円)と遅延損害金

判決の要旨
 1 セクハラについて
 被告上司は、食事会であえて原告と隣の者の間に割り込み、原告の体と触れ合う状況になったこと、被告上司が隣に座っていた際で、原告が食事会の途中で席を立っていること、当時会社内で被告上司の食事会でのセクハラが話題となっていたことがあり、女性の間で注意が喚起されていたこと、現に別の食事会で原告と別の女性従業員に対して同様の事実があったことから、原告主張に沿う事実があったことが認められる。
 2 パワハラについて
 被告上司が上記セクハラ行為を行い、原告が不快な思いを募らせていたこと、及び病状の経過からパワハラの事実があったと認められる。
コメント
 セクハラ裁判では、セクハラの言動の事実を証拠で立証できるかが重要となる場合が多いです。また、セクハラ裁判の場合、セクハラ行為を直接証明してくれる証拠(直接証拠)がない場合が多いので、間接的にそれを証明してくれる証拠(間接証拠)をどれだけ集めることができるかがポイントとなります。
 本判決は、どのような証拠を収集する必要があるかについて参考になると思います。例えば、セクハラ行為者が同様の行為をしたという証言があれば有力な証拠になりうるだろう、などです。




▼ vol.10 ▼

概 要

被告:会長 会社

原告は被告会社に勤務する女性。
被告会長は、原告が役員室へ報告に行く度に食事に誘ったり、「一緒に温泉に行こう」などと、きわどい発言をするなどしていた。
また、入院中の原告を見舞いに行き、キスしたりパジャマの下に手を入れて身体に触ったりし、退院してからも原告を強引にドライブに連れて行き、ホテルへ誘うなどした。

原告は会社を退職した。


判 決



148万5千円認容
(慰謝料150万円+弁護士費用13万円−既受領額145,000円)

被告の言動は、被告が会長であり上司である原告が、その要求にあからさまに逆らえないことを利用して行われ、社会的許容範囲を超えている。

また、被告の行為の一部は勤務時間中、被告会社内において行われ、また会社内の地位を利用して行われていてものであるから、事業の執行につき行われたと認められる。

会社は、使用者としての責任がある。




▼ vol.9 ▼
仙台セクシュアル・ハラスメント(ピアノ教師)事件
(仙台地裁 h.11.7.29)
概 要

被告:ピアノ教師

原告:ピアノ練習者

原告は10歳の頃から被告にピアノの個人レッスンを受け、また、原告が大学在学中は、その講師としてもピアノの指導を受けてきた。

ところが、被告教師は、原告が中学3年の時にキスをしたことをはじめとして、高校入学後は下着の中に手を入れる、性器をもてあそぶなどのわいせつ行為に及び、大学入学後には、ついに性交渉を持たせた。
その後も原告は、大学を卒業するまで、複数回同様の関係を持たされた。

これにより、原告は甚大な精神的損害を被るとともに、現在外傷後ストレス障害及び解離性障害を発症しており、ピアニストになる道も、事実上閉ざされたと感じている。

請求額 1,100万円(慰謝料 1,000万円、弁護士費用 100万円)


判 決


原告勝訴 900万円(慰謝料800万円、弁護士費用100万円)を認容。

被告の反論(1):原告主張の性的行為は合意の上のことである。

原告が被告に抱いていた尊敬及び畏怖の念から常に被告が原告に指導ないし指示をし、原告はこれに従わざるを得ないとの関係にあったもので、原告が明示的な拒絶の姿勢を示さなかったからといって原告の同意があったということはできない等として、敗訴。

被告の反論(2):仮に不法行為が成立するとしても、本訴提起の時から3年以前の部分については消滅時効が成立している。

原告の不眠、摂食障害、めまいといった症状や行動が、被告の行為を原因として形成されてきたことを原告が明確に受け止めたのは、医師の診察を受け始めた時であるとして、敗訴。




▼ vol.8 ▼
八王子事件(東京地裁八王子支部 h8.4.15)
概 要
被告:校長

原告は、被告が学校長をつとめる小学校教諭。
被告は原告とともに他校の見学会及び懇親会に出席し、その帰途、原告の手を取り、自分の性器をさわらせる等のわいせつ行為を要求した。原告はこれを拒否。

この結果、校長は原告を教育上のことで無視し、人事上不利益を課すなど言動をした。

慰謝料300万円の内金として200万円を請求


判 決


50万円認容

原告の供述は具体的かつ詳細であり、終始一貫しているのに対し、被告の供述は不自然な感が否めない。
しかし、その後の人事上の処遇等については報復行為とまでは認められない。
h10.12.21 東京高裁で和解成立。




▼ vol.7 ▼
東京(ちらし広告会社)事件 (東京地裁 h9.2.28)
概 要
被告:社長 会社

会社代表者である被告は、勤務時間中に事務所で原告と二人だけになったとき、原告の尻を触ったり抱きついたりし、また、毎月生理の有無を聞いたりするなどわいせつな事をし、羽交い締めにして背後から抱きかかえたりするなどの行為に及んだ。

その後、原告が被告の性的行為を断固拒否する態度を続けたところ、些細なことで怒鳴り、威圧的になり、さらに抗議すると原告を解雇した。

慰謝料として300万円を請求。


判 決


100万円認容

被告の行為は、原告の人格権を違法に侵害するもので不法行為を構成する。
また、解雇理由と原告の勤務態度等を考慮すると、解雇権の乱用で違法なものである。
被告の不法行為は職務執行と密接な関連性が認められ、また、解雇は職務執行として行ったものであり、被告会社は連帯して責任を負うべきものである。



▼ vol.6 ▼
横浜セクハラ事件(東京高裁 h.9.11.20)
概 要
事務所内で上司に抱きつかれるなどのセクハラを受け、退職するに至った女性労働者が損害賠償請求した。

判 決

一審判決は、事務所内での抱きつき行為について、20分もの長時間、上司のなすがままにされていたこと自体が、考えがたく、そのような被害にあえば冷静な思考、対応をとるのは、不可能であると考えられるのに、原告女性の思考、対応は冷静だったことなどから、女性の供述には信用がおおけないなどとして請求を棄却した。
控訴審判決は、被害女性の供述の信用性につき、アメリカにおける強姦被害者の対処行動についての研究などに基づき、女性の供述に信用性を認めた上で、上司及び会社(使用者責任)に対して275万円(うち25万円は弁護士費用)の支払いを命じた。
なお、会社の労働環境整備についての義務違反を理由とする、会社そのものの不法行為責任については、会社がセクハラの事実について確実な証拠を有していなかったことから、これを否定した。

▼ vol.5 ▼
概 要
被告:副主任準看護士 病院経営者(連合会)
原告は精神科の男子病棟に勤務する看護婦2名

被告は病棟の福主任である準看護士。

被告は原告らと病棟内ですれ違ったときや、深夜勤務中に休憩室で二人きりになったとき、胸・臀部・大腿部に触り、卑猥な言葉を投げかけるなどした。

原告らは被告連合会に対し、勤務体制の変更や被告の異動などを訴えたが聞き入れられず、反対に原告らが他病棟に配転された。

原告は、加害者の行為は業務に密接に関連しているとして、院長ら管理監督者に対しても使用者責任を求めた。

330万円(慰謝料 300万円、弁護士費用 30万円)を請求。

判 決


110万円認容
(各55万円、慰謝料 50万円+弁護士費用 5万円)

被告の行為はいわゆる環境型セクシュアル・ハラスメントにあたり、不法行為に該当すると認められる。
使用者は被用者に対し、働きやすい職場環境を保つように配慮すべき義務を負っているが、被告連合会はその義務を怠ったものと認められる。
ただし、加害者の行為は個人的なものであり業務関連性はなく、連合会の使用者責任については認められなかった。


▼ vol.4 ▼

京都セクシュアル・ハラスメント(呉服販売会社)事件
(札幌地裁 h8.5.16)

概 要
女子更衣室がビデオカメラで隠し撮りされていることを会社が放置しており、このことを理由に原告が朝礼で「会社を今は好きになれない。」と発言したところ、別の日の朝礼で会社の専務が原告に対して、今後も勤務も続けるかどうか考えてくるようにと発言をしたため、以降職場内の人間関係がぎくしゃくとし退職を余儀なくされた。

判 決

被告会社は、雇用契約に付随して、「原告のプライバシーが侵害されることがないように職場の環境を整える義務」とともに「原告がその意に反して退職することがないように職場の環境を整える義務があるというべきである」とし、これらの義務を怠った会社には債務不履行責任があるとした。
また、専務個人にも不法行為による損害賠償義務を認めた。賠償額としては、退職による逸失利益(退職しなければ得られたであろう利益)として、180日分の賃金相当額(約79万円)、慰謝料として100万円(専務に対する関係では50万円)、弁護士費用15万円(専務に対する関係では10万円)を容認している。
▼ vol.3 ▼

札幌事件(札幌地裁 h8.5.16)

概 要

被告:社長 会社

原告は中古自動車販売会社勤務の女性で、被告はその代表取締役。
被告は、原告の勤務時間中やそれに準じる時間帯に、事務所内及びそれに続く被告の私室において、約1か月半の間、原告に対して性交を迫ったり性的言動を繰り返し、抱き付くなどの実力行使に及んだ。
また、原告の腕をつかんで自宅へ呼び入れ、ベットに押し倒そうとした。

これらの行為により、原告は退職を余儀なくされた。


判 決

被告および会社に各70万円認容

原告は普段から性的嫌がらせを受けている事実を数人にうち明けて相談していた。また、被告の供述にも不自然な店が多い。

社長は継続的に性的嫌がらせ行為等を行うことにより、故意に原告の性的自由を侵害し、その結果原告の退職を余儀なくさせた。
原告が社長と2人きりになったのは、社長の申し出を断りきれなかったからであり、被告の不法行為は、代表取締役としての立場と密接不可分なものであって、職務を行うにつきなされたものというべきである。

▼ vol.2 ▼

沼津事件(静岡地検沼津 h.2.12.20)

概 要

被告:上司
原告はホテルのフロントで会計係として働いていた女性で、
被告はその上司の会計課長である。

被告は仕事の後、原告を食事に誘い、
その帰途の車中で「モーテルに行こうよ。裸を見せてよ」と執拗に誘い、
原告に拒否されたにもかかわらず、
一方的に原告の腰などに触れ、キスを強要するなどした。
その結果、原告は体調を崩し、退職を余儀なくされた。
請求額 599万円(慰謝料 500万円、弁護士費用99万円)


判 決
110万円認容(慰謝料 100万円、弁護士費用 10万円)
(被告欠席裁判)
被告の行為は、その性質、態様、手段、方法などからいって
不法行為にあたるのは明らかである。
被告が職場上司の地位を利用して機会をつくったこと、
一連の行動は、女性の単なる快楽、遊びの対象としか考えず、
人格を持った人間として見て見ないことの現れであろうことが、うかがわれる。

 

▼ vol.1 ▼

このセクハラ事件をきっかけに、日本中に「セクシャル・ハラスメント」という考え方が広まりました。

福岡セクシャル・ハラスメント事件(福岡地h.4.4.16)

概 要
出版社の編集長が、会社内外の関係者に対し、対立関係にある部下の女性従業員の異性関係が乱脈であるかのように非難するなどして、当該女性の評価を低下させて退職に至らしめた。

判 決
編集長の行為が不法行為に当たると判示するとともに、「使用者は・・・労務遂行に関連して被用者の人格的尊厳を侵し、その労務提供に重大な支障をきたす事由が発生することを防ぎ、又はこれに適切に対処して、職場が被用者にとって働きやすい環境を保つよう、配慮する注意義務もあると解される」と判示し、編集長と原告の確執を認識していながら、原告が退職することで事態収拾することを是認した。会社の専務の行為も、右の注意義務に反するとして、編集長及び会社に対して、損害賠償として165万円(うち15万円は弁護士費用)を認めた
 
会社概要 企業法務担当者の方へ